Tomoru Oba
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マーフィーの法則  【合唱版】


■アーサー・ブロック著「マーフィーの法則」のパロディ・ギャグです。

目次

マーフィー学 Murphology
応用マーフィー学 Applied Murphology
上級マーフィー学 Advanced Murphology
問題学 Problematics
官僚主義 Bureaucratics
階級組織学 Hierarchiology
会議学 Committology
政治家とマーフィー経済学 Statesmanship and Economurphology
エキスパート Expertsmanship
上級エキスパート Advanced Expertsmanship
経理一般 Accountsmanship
設計学 Designsmanship
人と機械 Machinesmanship
研究者 Researchmanship


◆ MURPHOLOGY

マーフィーの法則より
落ちる可能性のある演奏は、落ちる。
かつて所属していた合唱団の演奏旅行にて、作曲家A先生から演奏会前日にアンコールの楽譜を渡された。必至になって暗譜したものの、どうしても覚えきれず、「こりゃますいなあ」と思っていたところ、案の定あちこちで落ちまくる。団員のひとりは、存在しない最後の一拍を見事に飛び出した。

露見の法則より
ハモらない和音はかならず表面化する。

チザムの第1法則より
順調に進む演奏は、どこかで何かがおかしくなる。

チザムの第2法則より
楽譜は、作曲者の意図どおりには理解されない。

スコットの第1法則より
どんな音程の間違いも、たいていは正しく聴こえてしまう。

スコットの第2法則より
音程の間違いを修正すると、もともとが正しかったことがわかる。

補足
その修正が間違いだったと気付いても、元に戻すことはできない。

マーフィーの熱力学の法則より
練習では、指揮者が圧力(プレッシャー)をかけると悪化する。

言わずの法則より
コンクールの結果予想を口にすれば、それが良いものなら消え去り、悪いことなら現実となる。



◆ APPLIED MURPHOLOGY

ブッカーの法則より
1分の実演は、3時間の講義に値する。

ハイゼンベルクの不確定性原理より
うまく行かなかった箇所が1つうまくいくようになると、他の1箇所がうまくいかなくなる。

フランクの電話の不思議より
女声がたくさんいれば、男声が集まらない。
男声がたくさんいれば、女声が集まらない。
両方バランス良くそろえば、さしあたってステージがない。



◆ ADVANCED MURPHOLOGY

マーフィーの法則に対するファーンズディックの推論より
おかしくなり始めた演奏は、次から次へとおかしくなる。

マーフィーの法則に対するガドゥーソの拡張より
あまりに最悪なのでそれ以上悪くなりようがない、という演奏はない。

リンチの法則より
練習が厳しくなると、誰もが立ち去る。

失敗した場合のファンストックの法則より
最初に歌ってみてうまくいかないなら、自分たちが歌ったという証拠はすべて隠滅せよ。

エバンとビョルンの法則より
演奏会が失敗すると、それを事前に察知している人がかならずいる。

ルーンの法則より
自分がどこを歌っているかを気にしなければ、落ちることはない。

パロウィッチの原理より
出だしが悪いと、演奏中の問題は指数関数的に増加する。

フルトンの重力の法則より
演奏中にちょっとしたミスを犯したとき、それを挽回しようとすると、何もしない場合よりも、損害が大きい。



◆ PROBLEMAICS

シーの法則より
計画どおりにいく練習はない。

ヴァン・ハーベンの法則より
演奏上の問題の解決は、解決できる団員を見つけることである。

ヴァン・ゴッホの法則より
どのような練習計画を立てようとも、実行不可能な部分がどこかにかならず存在する。



◆ BUREAUCRATICS

ヤングの法則より
正しく歌えなくても、団員はリハーサルを欠席しない。

反論
リハーサルにいるからといって、正しく歌えるということを意味しない。

ジオヤの理論より
音楽の知識を持たない団員ほど、意見を述べたがる。

新規採用についてのロフタスの理論より
内部の団員より、外部の団員がよく見える。
新入団員募集は、経験より可能性に賭けることである。

パットンの法則より
今日の良い練習は、明日の完璧な練習に勝る。



◆ HIERARCHIOLOGY

パーキンスの公理より
指揮者が偉ければ偉いほど、きつくあたる。

ハリソンの公理より
すべての演奏には、そのレベルに匹敵する酷評がある。

優秀な団員の第1法則
指揮者よりも自分が有能であることを指揮者に悟られてはならない。

ホイッスラーの法則より
どの団員が正しい音で歌っているかではなく、どの団員が権限を掌握しているかが問題だ。

ゴットリーベの法則より
詳細な楽曲分析を延々と説く指揮者は、最終的な目的を見失っている。

ヘラーの法則より
指揮者の最初の神話とは、指揮者が存在するということである。

ビジネスについてのマーフィーの考察より
合唱団員にとって最も難しいことは、自分の歌に集中することである。

マッチの金言より
愚かな指揮者は、山の頂に立っている人のようなものだ。彼の目にはすべての団員が小さく見え、誰の目にも彼が小さく見える。

軍隊の公理より
誤解されうる指示は、すでに誤解されている。

パットの法則より
合唱の指導は、2種類の人間に支配されている。音楽を理解できても指導できない者と、指導できても理解できない者に。

ジョーンズの法則より
修羅場に陥っても笑える指揮者は、責任をなすりつける人をすでに思いついている。



◆ COMMITTOLOGY

マッカナンの格言より
過去の練習から何も学ばぬ団員は、練習を繰り返さなければならない。

コートイスの法則より
合唱団員が自分の声にもっと耳を傾ければ、練習は減らせるはずである。

オールドとカーンの法則より
合唱練習の効率は、団員の数と音取りに要する時間に反比例する。

分科会委員の選出についてのマチルダの法則より
練習を休むと、何らかの係に選出される。

マイケルの会議学の法則より
1.どんな単純な曲でも、しかるべき回数の練習をすると、聴くに堪えない状態になる。
2.演奏会をだいなしにする方法が提案されるやいなや、もっともふさわしい策として全会一致で採択される。
3.全員一致で選択されたやり方で演奏会が失敗すると、最初に大賛成した団員たちはかならず次のように言う。「自分の懸念を指摘しておくべきだった。」

キムの委員会の規則より
ひとつのフレーズのアーティキュレーションを1時間かけて修正すると、全フレーズを修正するように提案する団員が必ず出てくる。

ビジネス会議の第2法則より
演奏上の解釈が2通り考えられるとき、選んだ方が間違っている。

スウィップルの発言の規則より
声の一番でかい団員が、その練習を支配する。



◆ STATESMANSHIP AND ECONOMURPHOLOGY

リバーマンの法則より
誰かが嘘を歌っても、回りが聞く耳を持たなければ問題にならない。

ソーセージの原理より
ソーセージ好きの人と合唱を聴くのが好きな人は、その作成過程を決して見てはいけない。

ホーングレンの考察より
声楽家にとっては、現実の合唱団の声は特殊ケースである。

ブラウンのリーダーシップの規則より
1.指揮者として成功するには、ときには自分の音楽倫理を超越しなければならない。
2.指揮者として成功する最善の方法は、移動中の合唱団を探し、その先頭に立つことである。

権力についてのフォックスの言葉より
名演奏の陰に傲慢あり。

政治学の第5法則より
指揮者のヒラメキは、たいてい間違っている。

ローの法則より
名演奏は常に人目につかず、失敗は常に周知のものとなる。



◆ EXPERTSMANSHIP

ハロウィッツの法則より
英知とは、完璧な演奏の一歩手前でとどまるタイミングを知っていることである。

ドゥ・ネバースの討論の法則より
数人が勝手に歌いまくることを、合唱とはいわない。

ハイラムの法則より
いろいろな先生に師事すれば、どんな指揮法でも正当化できる。

ガミッジの法則より
指揮者のエキスパート度は、団員が理解できる言い回しをどれだけ使えるかに反比例する。

ダンの法則より
指揮者が使う巧みな言い回しの中には、言い逃れという地雷が埋められている。

クラークの第2法則より
自分の歌唱の可能性の限界を発見する唯一の方法は、限界を超えてみることである。

偉大な人物の法則より
あなたが大いに尊敬する指揮者が深く考え込んでいるように見えても、彼は昼食のことを考えている。

ワインバーグの第1法則より
合唱指揮者が曲を仕上げるように建築家がビルを建てれば、最初にやってくるキツツキによって文明は崩壊する。

ワインバーグの発展形より
一流の指揮者とは、演奏中に小さなミスをひとつも犯さずに、決定的な間違いを犯せる人である。



◆ ADVANCED EXPERTSMANSHIP

グリーンの討議の法則より
自分の歌のどこが悪いのかを知らない限り、どんな歌も可能である。

ハルグレンの解より
練習中にやばくなったら、混乱させよ。

ホーキンズの進化論より
合唱団が進歩するということは、間違った練習方法を正しい練習方法に置き換えることではない。間違った方法を、より微妙に間違った方法と置き換えることである。



◆ ACCOUNTSMANSHIP

クレーンの法則より
ただでレッスンをしてくれる先生はいない。

スケジュールにおける90/90の法則より
曲の仕上げの90%を終了させるには、スケジュールで決められた練習期間の90%がかかる。残りの10%を仕上げるにも、同じだけかかる。

ブライアンの法則より
どんな合唱団も、ある時点で、それ自身の能力にかかわらずに良質の演奏をする能力を使い果たす。



◆ DESIGNSMANSHIP

ポールセンの予言より
声帯は、最高性能をフルに発揮させると、故障する。

ビットンの公理より
理解できるような音楽であれば、時代遅れである。

デザイン変更の第1法則より
委嘱作品における作曲家の間違った表記は、初演の直前にならないと伝えられない。これは、「今さら言われてもの法則」とも呼ばれている。

補足
その表記に対する正しい解釈と、明らかに間違っている解釈が存在するケースでは、間違った解釈を選択しておいたほうが賢明である。なぜなら、「今さら言われても」的変更を早めさせることができるからだ。

ショーの原理より
高齢者でも歌える合唱曲が作曲されると、高齢者だけが演奏する。

製品デザインの奥の手より
いくら練習してもそれ以上うまくならない点は、特色としてしまえ。
だからハモらない合唱団は、ルネッサンスものをあきらめて、どんな音を出してもそれなりに聞こえる現代物に走るのです。



◆ MACHINESMANSHIP

ウォッシュレスキーの法則より
どんな合唱団でも、解散は創立より容易である。
本当にレーヌの解散はあっという間でした。○○さんからメールで「解散します」。えっ、えええ??メールでかよっ!・・・・。

ウィラビーの法則より
うまくいった演奏を誰かに聴かせようとすると、うまくいかない。

ホーナーのファイブサムの公準より
経験の豊かさは、本番中に冷や汗をかいた回数に比例する。

カーンの公理より
何をやってもだめな場合は、楽譜を読むこと。



◆ RESEARCHMANSHIP

メイアーの法則の発展形より
楽曲の解釈は大ぶろしきであればあるほど、優れている。

ハーバードの法則より
リズム、音程、テンポといった可変的な要素を厳密にコントロールしようとした状況下では、合唱団員は勝手気ままに歌い出す。

フィナグルの第1法則より
練習がうまくいく場合は何かがおかしい。

フィナグルの第4法則より
いったんおかしくなってしまった演奏は、よくしようとすればするほどおかしくなる。

ウィンゴの法則より
フィナグルの法則は、何も考えずに指揮を振るという単純な技を身につけることによって避けられる。

バーの慣性の法則より
指揮者にメソッドを変更せよと迫ることは、警官に法律を変更せよと迫るのに似ている。

セーガンの誤信より
楽曲が音符の集まりにすぎないというのは、シェークスピアの戯曲が言葉の集まりにすぎないというのに似ている。

Mr. クーパーの法則より
楽譜の中にわからない音楽用語が出てきたら、無視しろ。それなしでも演奏は十分に行える。

Mr. クーパーの法則に対するボゴビッチの推論より
その用語抜きで演奏に支障を来す場合は、その用語がわかってもまともな演奏ができない。

フィナグルの第4法則より
いったんおかしくなってしまった演奏は、よくしようとすればするほどおかしくなる。

定規の法則より
完全なハーモニーというものは存在しない。





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